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重慶バイオガスダイジェスタープロジェクト視察感想文 [PEARのプロジェクト開発]

先日,英国サセックス大(MA in Environment, Development and Policy)に留学中の井上直己さんに頼まれ,彼の修士論文作成のため,われわれの重慶のバイオガス・マイクロダイジェスター(BMD)プロジェクトのサイトを見学してもらいました.

いずれ,その成果は立派な修士論文になるでしょうが(期待しています!),とりあえず,感想文というような形で書いていただきましたので,みなさんにご紹介いたしましょう.

筆者紹介:  英国サセックス大学 開発環境政策学修士課程に所属. 卒業論文においては,中国国内におけるBMD技術の内陸地域への普及のあり方をテーマとし,そのケースステディーとして,重慶市開県龍王村で実施されているバイオガス・マイクロダイジェスター(BMD) CDMプロジェクトを取り上げ,7月頭に事業の実地調査に訪問.

 


 

中国奥地の農村で広がるバイオガス・ダイジェスター

― 重慶市龍王村のCDM事業視察報告 ―

2009年7月29日  井上直己(いのうえ なおみ)

 

ゴウゴウ音を立ててガステーブルから吹き上げる青白い炎、そしてキッチンの真横にある畜舎で横たわる母豚に群がる多くの子豚達、これが龍王村で普及が進むバイオガス・ダイジェスターを見学した際に強く印象に残った光景です。事前に読んだBMDに関する資料の中では、メタンガステーブルの火力が弱いという短所が指摘されたケーススタディーもあったのですが、それを基にした私の予想は見事に裏切られ、各世帯のキッチンを訪問する度に、勢いよく吹き出る炎にただただ驚嘆してしまいました。コンロ.jpeg

キッチンの片隅には技術導入前に購入した練炭が調理用燃料としての役割を終え、山積みされていました。練炭の使用はキッチン中を煤(すす)まみれにしてしまうのみならず、煙によって室内大気汚染を引き起こし、健康被害をもたらします。BMD導入による練炭使用削減は、二酸化炭素排出削減につながる以前に、そうした生活環境改善につながることから、村民の皆さんからは大変熱く歓迎されていました。まだ導入していない村民の方々は口々に早期導入を求めていたのが非常に印象的です(写真は不要になった練炭の山)。練炭.jpeg

農村BMD技術について、中国は先進国といっても過言ではありません。ここで導入されているBMD技術は「伝統技術」と呼ばれるタイプのもので、中国において1980年代からの技術開発によって発展した技術であり、もっとも簡素な構造を持つ装置ですが、その分、低コストでメンテナンスも比較的容易であることから、遠隔地の農村地帯への普及には大変適していると言えます。2007年末までには中国国内でおよそ26.23百万戸の家庭にBMDが普及されていると言われていますが、当該CDM事業や中国政府の補助事業などを通じて、当該技術の更なる技術普及が期待されていることと思われます(写真は養豚場)。ぶた.jpeg

ただし、人糞のみでは調理に必要なメタン量を発生させることが困難であることから、BMD導入は世帯が養豚を営んでいることが前提となっていることに注意が必要です。つまり豚を保有していない世帯(豚を保有するだけの資力の無い農家)については、BMD導入の可能性は非常に限られているといえます。しかし一方で、龍王村では大規模な養豚農家がBMD設置によって大量にメタンを発生させ、近隣の豚を持たない世帯にも供給するという計画も進行中です。こうした取組は石炭依存からの脱却を更に促進していくことになるでしょう。農家同士が協力して、練炭からバイオ由来のメタンへと大きくエネルギー・シフトしていく構造転換の現場にまさに居合わせているのだということを、私は強く実感しました。

農村の方々は、気候変動のためにBMDを導入しているという意識はほとんど無いといって良いと思います。ただそれが練炭購入コストの削減につながるから、キッチンの衛生向上につながるから、そのために技術を導入しているのです。そして、それが結果的に温室効果ガス排出削減にもつながる。この事業はまさに「経済発展と環境保全の好循環」を体現した好例だといって良いと思います。

みなさん.jpeg

視察に協力いただいた方々とわたし(中央)


日本の中期目標とその後 [日本の国内政策措置]

先日,日本の地球温暖化対策の中期目標に関するパブコメの募集が行われました.同時に,説明会も日本各地で行われましたが,市民の意見としては,両方の極論しかほとんど出てこなかったようで,市民の意見を入れた日本の政策決定プロセスの課題を露呈していたようでした.

わたしも,重要なプロセスには,(裏口ではなく)できるだけ正式なプロセスから意見を言っていこうと思っていて,概論でしかないのですが,以下のようなコメントを提出いたしましたので,ご参考になさってください.わたしのまわりでは,ごいちくんのコメントがよく考えられていると思います.こちらもどうぞ.

 


地球温暖化対策の日本の中期目標に対するコメント

 

(有)クライメート・エキスパーツ /(株)PEARカーボンオフセット・イニシアティブ

松尾 直樹

 

 

目標の水準としては,選択肢の中で,1990年比マイナス15% (京都メカニズム込み).

 

野心的な数字を出して,それを達成するための日本としての考え方を示すべき.少なくとも,省エネなどに対しては,「パイオニア」であり続けるべきで,その意味では,GDPあたり対策コスト均等化=他の国がキャッチアップするまで待っている... と考えかたよりも,その上を目指すべきと考える.すくなくとも,そのメッセージを出すべき.

 

その一方で,以下の視点が重要と考える:

 

 

中期目標は,「コペンハーゲンにいたる国際交渉における日本の交渉のスターティングポイント」という側面だけでなく,

 

国内および海外に対し,日本の温暖化問題に対する考え方・ビジョンを,

メッセージとして伝える

 

という意味合いがある.すくなくとも,外部の人は,日本の中期目標から,日本は何を考えているのだろう?を,読み取ろうとする.

 

しかしながら,たとえばEUと比較して,温暖化問題を専門にしている私にとっても,日本が温暖化問題にどのようなビジョンを持ち,それを実現化するためにどう取り組もうとしているか,非常にわかりづらく,いわんや非専門家や海外の人にとっては,いままでほとんどメッセージが伝わってこなかった(伝えようともしてこなかったし,ビジョンに関する国内での議論もなかった).[日本はパフォーマンスは優れているが,ビジョンがない.リーダーシップとは,ビジョンの訴求性に由来する]

 

実際,2020年からそれ以降にかけて,「社会の仕組みとして,どのような低炭素社会の青写真を描くか?」ということを示した上で,その表現の一形態としての中期目標があるべきであろう.

 

ただ,実際はそのようなことにはなっていない.国際交渉の場においては,その時点の首相の「高度な政治的判断」で決まった「数字」としての数値目標だけでしかない.

 

わたしの強調したいのは,この中期目標が決定された後の,それからのメッセージと,その後のプロセスの重要性である.ぜひ,この機会を活かしていただきたい.

 

現実問題としては,2020年までに,低炭素社会に向けての大きな社会的変革が実現することは考えにくいであろうが,いまからちゃんと準備すれば,「その後」にはそれが可能となる.すなわち,まずはその準備のための議論を行うプロセスを立ち上げる必要がある.

 

少なくとも,中期目標設定時に,その「立ち上げ」をアナウンスすることならできるであろう.

 

どのような形で,議論をし,政策を作っていくか?という点に関して,ひとつの提案がある.それは,モニュメンタルな建築のケースとおなじように,

 

「日本の地球温暖化対策の『考え方・ビジョン・それを実現化する政策措置のデザイン』

に関して,コンペを行う」

 

というものである.

 

コンペの結果,提案された「作品」は,広くメディアを通じて,国民の間で議論されることとなる.政治家の役割は,それらの中から,最終的にもっとも日本の将来にとってベストなものを選択することである.

 

シンクタンク,その他の専門家,政治家,役所(およびその中の個人),NGO などにとって,自らの政策デザイン能力をオープンな競争環境で発揮するまたとない場であり(能力開発の機会にもなる),また,新しい民主的な政策決定の方法として,世界からも着目されるであろう.

 

ぜひ,中期目標決定にとどまらず,その次にどうつなげていくか?も,考えていただきたい.

 


 バトン.jpeg


みなさんも,ぜひいろいろ考えてみる機会としてください.

 

松尾 直樹

 


バイオガスマイクロダイジェスターCDM キックオフセレモニー [PEARのプロジェクト開発]

すいぶん時間が経ってしまいましたが,3/14,重慶において開発してきた「バイオガス・マイクロダイジェスターCDMプロジェクト」のキックオフ・セレモニーを行いました.

そのようすは,簡単なファイルにまとめておきましたので,ぜひ ご覧ください.また,「世界で一番CDMという言葉が普及している村」にも,写真をアップしておきました.本当にたくさんの農家のみなさんの期待を,ひしひしと感じることができた感動的なセレモニーでした.

このプロジェクトは,社会的貢献度の非常に高いすばらしいプロジェクトであるわけですが,PEARの精神を具現化したものです.このようなプロジェクトを実現化したいがために,PEARを立ち上げたと言っても過言ではありません.

A.jpg

このプロジェクトは,プログラムCDMという形態で実施します.この方法は,従来型のCDMプロジェクトとは異なり,とりあえず小さいスケールで立ち上げてから,徐々に大きくしていくことを簡単に行うことができます.

とりあえず,このような社会的意義の高いCDMプロジェクトの価値を見いだしていただける投資家・企業を募って,大きくしていきたいと思っています.寄付ではありません.排出権(CDMクレジット=CER)を,投資としてのリターンとしてお返しします.そのCERを何に使うか?は,投資家の自由です.

良質のプロジェクトからのクレジットであることを証明する Gold Standardの認証を獲得する予定ですので,欧州排出権市場では,通常のCERより高く販売できますし,ご自分の排出量のオフセットに用いられるなら もっとすばらしいですね.

もし,ある程度まとまった資金を投資してもいい... とお考えの方や企業がおられたら,ぜひ,お声かけください.多くのCDMプロジェクトをお持ちの企業の方にとっても,ポートフォリオに入れておくことの意義は大きいと思います.

そのうちに,個人でもこのようなプロジェクトに投資できる仕組みをつくっていきたいと思っています.ご期待ください.

松尾 直樹


あけましておめでとうございます [PEARのプロジェクト開発]


新年 あけましておめでとうございます!

新しい年を迎え,みなさんは いかなるお気持ちでしょうか?今年末にはコペンハーゲン会議,米国オバマ新政権の動きなど,地球温暖化問題をめぐる国際的な動向は,目が離せないものがあります.

社会企業(ソーシャルベンチャー)として立ち上げた PEAR は,PEAR China (PEACH) も設立され,今年は いよいよ 自分たちでつくってきたプロジェクトが立ち上がります.今年の半ばには 国連登録がなされるものと期待しています.

中国重慶の貧困農村地域での,家庭レベルのバイオガス・マイクロダイジェスタープロジェクトは,プログラムCDMという新しいCDMの形態で,まさに持続可能な発展を絵に描いたようなプロジェクト(プログラム)となります.そのうちに,どういうプロジェクトか?それをどのようにしてCDM化するか?など,詳しくご紹介いたしましょう.

最初は 洞爺湖サミットのカーボンオフセット資金を用いて,そのあとで いくつか日本や外国の資金を用いて 動かしていくことになります.持続可能な発展のためのプロジェクトを認証する Gold Standard も獲得すべく動いています.

みなさんにとっては,単なる排出権を購入するのではなく,まさに きわめて良質の「産地直送」で 相手の顔の見えるカーボンオフセットサービスをご提供することになりますね.

将来的には,このようなプロジェクトで,みなさんが ご自分のカーボンフットプリントのオフセットだけでなく,意思のある投資対象として考えていただけるような仕組みをつくりたいと 密かに思っています.ソーシャルベンチャーの先輩格である Kiva http://www.kiva.org/ のようなことができるといいですね.Kiva は,マイクロクレジットスキームをインターネットを通じて,Person-to-Person で行えるようにした組織です.

カーボンオフセットのみならず,カーボンマネージメントの仕組みに関してもいろいろ動かしていきたいと思っています.

国内外での低炭素社会構築に向けて,実際のアクションを行っていく,それを みなさんとつくっていくことが,PEARの目指すところです.

今年は,大きく羽ばたくようにがんばっていきます.みなさんも ぜひ わたしたちと一緒に 低炭素社会をつくっていきましょう!

松尾 直樹

PEAR_greeting_2009.png

現場でがんばっている佐々木の年賀状もお付けいたしましょう.

佐々木さん年賀.png

P.S. Climate ExpertsのWeb http://www.climate-experts.info/ においても,新年のあいさつや,温暖化関連のコラムをアップしましたので,よろしかったらご覧ください.


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POZNAN会議の状況 2 [地球温暖化問題の国際交渉]


ポーランドのPoznanで開催されていた COP 14 (& COP/MOP 4) が,二週間の会期を経て終わりました.ボランタリーなカーボンオフセットとはすこし異なる視点となりますが,ここでそれを少し振り返ってみましょう.

来年のコペンハーゲン会議で,新しい方向性がいろいろ決まってきます.日本ではメディアなどで「ポスト京都」という言葉で表現されるときがありますが,これはミスリーディングです.とくに,発展途上国の数値目標が入った新しい国際協定ができるようなことは,予定されていません.

国際交渉は,2013年以降の先進国の数値目標を決めるトラックと,発展途上国を含めた対策強化のトラックの2つが並行して動いてきています.

日本にとって直接効いてくるのは,あきらかに前者です.また,数値目標自身は,来年の6月6日までに,そのテキストに合意する必要があるのです!そのことをきちんと理解している日本人は何人いるのでしょうか?井の中の蛙では困ります.

先進国の数値目標は,まず先進国の排出総枠に合意し(来年3月の交渉会議),6月には各国の目標に合意する予定となっています.よく考えるとわかりますが,「総枠」は環境問題,「各国目標」は公平性/負荷分担 の話となっています.これをちゃんと分離することがいいですね!

発展途上国関係は,Bali Action Plan として,Long-Term Cooperative Action を,どうしていくか?という話です.GHG排出削減を表す mitigation だけでなく,adaptation,技術移転,ファイナンス が,同列に扱われています.それから,Shared Goal ですね.たとえば 2050年半減 というのはこれに当たります.いままで,発展途上国関係は なかなか動いてこなかったのですが,すこしずつ動いてきています.

Unite.jpg

歴史的には,気候変動枠組条約(1992年),京都議定書(1997年),ボン合意/マラケシュアコード(2001年) と,きわめてタフな交渉がありましたが,それらはきちんと実りをあげてきました.わたしは何度も感動的な場に立ち会ったものです.いろいろあっても,結局は「進めていかなければならない」という気持ちは共有されていると思います.今回も,そうなってもらいたいものですね.

松尾 直樹

P.S. なお,セミプロ以上の人に向けて会議の参加報告+分析を,Climate Experts のWeb に載せておきます.ご興味のある方はご覧ください(緑色がわたしのコメントです).ダウンロードした方は,よろしかったら わたし までご連絡いただけると幸いです.

 


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POZNAN会議の状況 1 [地球温暖化問題の国際交渉]

 

ごぶさたしていてすみません.前回の重慶のバイオガス・マイクロダイジェスターのプロジェクトは,無事に農業委員会とMOUを結んで,いま,CDM化のためのドキュメントがほぼできあがったところです.

さて,わたしは,今週から二週間の会期で開催されている COP 14 (& COP/MOP 4) に参加しています.来年のコペンハーゲン会議で大きなことが決まることになっているのですが,どこまで課題をつぶしておけるか?が今回のポイントでしょう.

わたしは,この手の国際交渉は,INC 10 という COP 1 (Berlin, 2005) の準備会合から参加してきており,日本では最古参の一人となっています.今回,PEARメンバーは,3人参加しています.PEARの特徴は,各種温暖化の専門家が集まっているというところで,また機会があったら紹介しますが,IPCC の ノーベル平和賞を記念した感謝状も3人がもらっています.

さて,2013年以降の先進国の数値目標や,途上国を含んだ新しい取り組みなど,国際交渉の話題も,機会がありましたら分析を交えながらお知らせいたしますが,われわれのかかわっているCDMに関して少し.

DOEの資格suspensionなどがビジネスの世界では大きな話題ですが,もうすこし環境の側面から,プログラムCDM (PoA) への期待がますます高まっているのを感じました.われわれの重慶でのバイオガス・マイクロダイジェスターも,プログラムCDMという新しいアプローチを活用するものです.新しいが故に,制度的にまだ不透明なところが残っており,そのあたりが関係者の大きな関心でした.

ただ,複数の方法論の適用に関する点など,課題はかなり整理・認識されており,次回の2月のCDM理事会において,そのあたりはクリアになりそうな様子です.

われわれのプロジェクトに関しても,いろんな人の関心を集めていました.プログラムCDMは,まだパイロット的なものしか動こうとしていないのですが,きちんと民間セクターの事業として動いてくる好例になると思っています.

会議の模様は,

http://unfccc.int/meetings/cop_14/items/4481.php

http://www.iisd.ca/climate/cop14/

あたりに出ていますので,ご関心のあるかたはご覧ください.

なお,下の写真は,環境NGOの発表する Fossil of the Day という不名誉な賞ですが,なんと昨日は日本がワンツーフィニッシュでした.いやはや...

photo.jpeg

松尾 直樹

 


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重慶農業局とのMOU [PEARのプロジェクト開発]

 

またまたごぶさたしていました.わたしの場合の BaU とは,busy-as-usual なので,ご勘弁ください.

あれから,環境省が立て続けに,カーボンオフセットに関する FAQ算定ガイドライン情報提供ガイドライン なるもののドラフトを作成し,パブコメを求めました.PEARとしては,それらにコメントを提出しました.FAQへのコメント算定ガイドラインへのコメント情報提供ガイドラインへのコメント をダウンロードできるようにしておきますので,よろしかったらご覧ください.カーボンオフセットに関して,きちんと理解したい人にとっては,いい教材となるかと思います.

さて,明朝,中国に出張します.

今回の目的は,北京大でCDMに関する講演をすることもあるのですが,もっとも重要なのは,重慶において農業局農業委員会と,Memorandum of Understanding (MoU) を締結することです.

PEARは,みずから CDM(それもプログラムCDMという難易度の高い新しいタイプのCDM)を実施していきます.とくに,ホスト国が,持続可能で低炭素型経済発展のパスを選択できるようなプロジェクトを厳選して行います.

そのために水面下で活動をしてきた「バイオガス・マイクロダイジェスター」というタイプのプロジェクト(というよりプログラム)があります.詳細はまたいずれ紹介いたしますが,中国の貧困農村地域で,農家一戸一戸に バイオガス生成のためのダイジェスターを導入するという  まさに 持続可能な発展を 絵に描いたようなプロジェクトです.

おばあちゃん.jpg

かなり現実的なところまでこぎつけましたので,今回,むこうのパートナーである重慶市農業局農業委員会と,MOUを結ぶことになりました.初期投資を行っていただける日本の事業者の方にも いっしょに行っていただけます.

また,その様子やプロジェクト自体のご説明など,機会をもうけて いたしましょう.

なお,もちろん,このプロジェクトは,みなさんのカーボンオフセットの原資となります.すなわち,みなさんがオフセットを行うことは,地球大気に対する温暖化負荷をなくすだけでなく,このように 開発途上国の貧困地域の低炭素型経済発展にも 大きく役立つわけですね.これも,PEARのカーボンオフセットの大きな魅力でしょう.

松尾 直樹


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C. オフセットってどういうことなの? [カーボンオフセットの本質とは?]

 

しばらくごぶさたしていてすみませんでした,上海での CDM Asia 2008 に参加したり,いろんなことがありました.今回のプレゼンテーションはPEARやカーボンオフセットの話をしましたので,それを添付しておきましょう.

さて,日本では現在までに,200程度の「カーボンオフセット」と称するプログラムがあるようですが,そのほとんどすべてが「日本の京都議定書の目標のためにクレジットを使う」というタイプのものです.われわれ PEAR は,(下で説明するように) これを「カーボンオフセット」と呼ぶことには大きな抵抗がありますし,環境省のガイドライン設定時にも パブコメを通じて反論/警告してきました(ほとんど歯牙にかけてもらえませんでしたが).もちろん,PEARでは,そのようなサービスをカーボンオフセットと称して行ってはいません.

実際,「その国の京都議定書数値目標達成に用いる」ことをカーボンオフセットと称している海外での事例は,おそらく一件もないばかりか,それをカーボンオフセットと称するならそれはダブルカウンティングである,ということも言われています.

どうして「日本でだけ通用する」不思議な(かなり怪しい)使われ方がされるのでしょうか?いったいそれでいいのでしょうか?今回は,このカーボンオフセットの「本質」に迫る点を考えてみましょう.

みなさんが「カーボンオフセット」をされるとき,なにを期待されるでしょうか?「自分の出したCO2による大気への負荷」をオフセット=打ち消すことこそが,カーボンオフセットですよね?

そのためには,別のところでの「排出削減分」を排出権(排出削減クレジット)という形で調達してくる必要があります.ですが,買ってくるだけではダメです.それを「もはや使えなくする」ことで,オフセットとなるわけですね.排出権とは,文字通り,1トン分持っていたら,追加的に1トン分排出できる権利証のようなものです.誰かにあげてしまっては,オフセットしたことになりません.

排出権として,CDMのクレジット(CER)を使う場合,それを日本の目標達成に使うということは,どういうことを意味するのでしょうか?それは,「日本がそれだけ目標達成が楽になる=その分 日本が追加的に排出ができるようになる」ことを意味しています.その分は「大気から減っていない」のですね.日本は,京都議定書の目標を達成する(海外からの排出権調達もその手段です)とコミットしていますし,それを前提に動いていますから.他の国より目標が厳しい... なんていうのは,言い訳になりません(カナダのように目標達成する気がないなら話は別ですが).

言い方を変えると,海外から排出権を調達して目標達成をしなければならない日本に対し,あなたが1トン分提供するということは,その分,日本政府が排出権を購入せずにすむことを表しています.日本の「財政負担軽減」という面での寄与はありますが,それは大気からその分CO2が減るということではありません!

排出権は,ふつうは何かの排出量をオフセットするためのツールという言い方もできます.ただ,そのオフセットは「一回しか」使えません.日本の排出量の(京都議定書下の)オフセットに使ったなら,もはやあなたの排出量の(自主的な地球大気に対する)オフセットには使えませんし,逆に あなたの排出量のオフセットに使ったなら,他者(日本も含む)の排出量のオフセットには使えないのです.両方に使えると言う人があれば,それはあきらかにダブルカウンティングでルール違反です.

わたしは,日本の目標達成のために排出権を日本政府に無償で差し上げる... という行為自体は,すばらしいことであると思っています.ですが,それは「本来のカーボンオフセット」の概念とは異なることなのです(わたし個人としては,異なった名称を付けた方がいいと思っています).

2つのサービス.png

問題は,このように「似て非なる」サービスが2種類存在するなかで,購入者に対して,その意味の違いをちゃんと説明しない... という点にあります.カーボンオフセットサービスを受ける(お金を払う)人に対し,説明を全く行わないか,ミスリーディングな説明しか行わないのであれば,ただでさえ目に見えないサービスとして わかりにくいカーボンオフセットが,社会的に胡散臭いものとして社会からレッテルを貼られてしまうおそれすらあります.せっかくのすばらしい仕組みが それではあんまりです.

もっとも,日本政府へのCERの無償譲渡は,日本の目標達成を通じて(いわば間接的に)地球環境に貢献する... ということはその通りです.これは 国内での省エネ活動なども同様ですね.ただ,1トン分のCERを日本に差し上げたとしても,それは「地球大気から」1トン分減ったことにはなりません.目標達成が楽になることによって,将来,より厳しい数値目標にコミットできるようになる... かもしれませんが,その量は,あなたの提供した1トン分ではないのです.

カーボンオフセットは,1トン分のサービスを提供する(お金をいただく)なら,1トン分の削減を約束するものでなければなりません.漠然と地球環境に貢献している... という定性的な言い方ではダメなのです.環境によさそうなことは,なんでもカーボンオフセットという名前を付けてあげたい... というのでは ダメです.きちんと理論的に数字の面で整合性がとれたものである必要があります.

今回は,数値目標や排出権の理論的な話で,わかりにくかったかと思います.ただ,カーボンオフセットの根幹にかかわるところでしたので,あえてご説明しました.みなさんが,カーボンオフセットという言葉をきかれたとき,この点が明確に説明されているかどうかを,ぜひご確認ください.

松尾 直樹

P.S.   ところで,2つ異なった概念のサービスがあるのがおわかりいただけたとしても,どちらをご自分が望んでいるか,おわかりになるでしょうか?(両方同時に... というのはダメです)  そんなときは,国際線のフライトを想定してみてください.現在,国際線のフライトからの排出量は,どの国の排出量にもカウントされていません.言い換えると,いくら国際線に乗っても,日本の排出量は増えず,目標達成が厳しくはならないということです.もし,それでもあなたが 国際線のフライトもオフセットすることが大切だ... と思われるなら,それは あなたが 日本の目標達成よりも,地球大気からの直接削減である本来のオフセットを重視されているということなのです.

 


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B. カーボンオフセットは何のオフセット? [カーボンオフセットの本質とは?]

あしあと.png

 

カーボンオフセットと言う言葉は,日本では かなり広範囲の解釈で使われることが多いようです.そのなかには,かなり「?」であるようなものも見受けられます.そこで,ここではカーボンオフセットというものを,もういちど原点に立ち戻って考え直してみましょう.

今回は,まさにその名前の由来でもある「オフセット」という点に関してみてみます.

本来のカーボンオフセットとは,

『自分の ある活動から排出されるCO2(カーボンフットプリントとも呼ばれます)を なかったことにする=オフセットする』

ということですね.

であるなら,オフセットする対象(となる活動)が,きちんと特定され,その排出量が計算されるべきものでしょう.なにをオフセットしているのか分からないものは,カーボンオフセットとは呼びにくいですね.

この点は,わたしは非常に重要な点であると思っています.

カーボンオフセットは,単なる販売促進のツールではなく,環境コンシャスな気持ちをベースにしたものであると思います.ということは,カーボンオフセットとは,自分の活動とそのカーボンフットプリントを認識しなおす機会なのですね.むしろそうであるべき,という言い方がベターかもしれません.

カーボンオフセット・プロバーダーの視点からは,できるだけ活動ごとにカーボンフットプリントを認識し,そしてできるだけ正確に排出量を計算するツールを提供することこそ,その基本とすべき点ではないでしょうか?

PEARでは,できるだけこの点を追求していきたいと思っています.そのために,活動をみなおし,さらに みずからの CO2排出量のマネージメントを行うことのできるカーボンアカウントをご提供しています.排出量計算に関しては,GHGインベントリー専門家の作成した 排出量算定根拠のページをご覧ください.これらは,どんどん使いやすいもの,正確なものにしていきたいと思っていますので,なにかご要望がありましたら,お知らせください.

松尾 直樹



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A. カーボンオフセットは排出権取引なの? [カーボンオフセットの本質とは?]

 

カーボンオフセットは,たとえばあなたの活動から出るCO2排出を,実質的に「なかった」ことにすることです.どうやってそのようなことが可能なのでしょうか?

それは,どこか他のところで,その分「排出量を減らす」ことが行われればいいわけですね.

自分で行わず,それを誰か別の人に行ってもらって,それを買ってきて済ます... ということは,実は社会では珍しいことではありません.

みなさんは,自分でお米を育てているでしょうか?他の人が作ったものを買ってきているわけですね.これは,分業=まさに経済活動そのものであるわけです.分業というのは非常に強力で,自分でできないことをできるようにしてくれます.自分の能力を何倍にもしてくれるのですね.

排出権取引とは,まさに「排出削減活動の分業」を行うということなのです.食料生産が個人レベルで自給自足しなければならない社会では,おそらくこれだけの人口を養えないでしょう.排出削減も,大幅に行っていこうとするなら,それを「効果的に」かつ「安価に」行うメカニズムが必要なのです.

「排出量を減らした」というものは目に見えるものではありませんが,それを「表す」ものとして用いられるものが「排出権」です.排出権を1トン分生み出すためには,1トン分の削減が必要で,1トンの排出権を入手すれば,それは1トン分余計に排出できることを意味しています.通貨のような感覚でもいいかもしれません.

たとえば企業が,排出権取引を行う動機はどういうものでしょうか?それは,何らかの排出規制が課せられ,それを自分だけで達成することが難しい場合,不足分相当の排出権を購入すれば,目標を達成したとみなされるわけです(そのような制度がEUなどでは存在しますし,京都議定書は国レベルでそのような排出規制の下で,取引が可能となっています).もちろん売る方の企業は,その分,排出量を減らせなければなりません.

このような自分の排出量を,排出権を買ってくることで「オフセット(相殺)」することが,排出権取引という規制の下では可能となるわけです(重要なのはそれによって排出量が増減するわけではないというところです).

排出権取引とカーボンオフセット.png

われわれの考えている「カーボンオフセット」は,同じく排出権を用いるという意味ではすごく強力な削減手段であるわけですが,上記の排出権取引制度とはすこし異なります.

排出権取引は,排出規制制度であり,それを達成しなければならないから未達分を排出権として購入しようとするのですね.

一方で「カーボンオフセット」とは,規制がない状況で行われます.自主的,すなわちボランタリーな活動なのです.要は「自分はCO2を排出することで地球大気に負荷をかけている」を認識して,「それを相殺する」ことで気候変動問題への自分の責任感(=負荷を実質的にゼロにする)を果たしたい,という「気持ち」に基づくもの,それがカーボンオフセットであり,法的な義務に基づく普通の排出権取引との違いになっています.

その「気持ち」とは,「自分の出した排出量を相殺したい」というものですね.であれば,買ってきた排出権はどうするのでしょう?1トン分の排出権は,文字通り持っている人が1トン分 余計に排出できる権利のようなものです.誰かにあげてしまったら(それが有償であっても無償であっても)それを受け取った人は1トン分余計に排出できることを意味します.逆に,自分はもはや排出権を持っていないわけですので,自分の排出量を相殺したことにはならないわけですね.

したがって,自分の排出量のオフセットのためには,買ってきた排出権は「もはや使えなくする」ことが必須です.誰かにあげてしまってはいけません.それがたとえ日本政府であってもダメです.日本はその分,追加的に排出できるわけですから.この点は非常に重要ですので,いずれ回を改めて,丁寧にご説明いたしましょう.

松尾 直樹


※排出権取引は,排出量取引や排出枠取引などとも呼ばれることがあります.排出権は,その「役割」はまさに排出できる権利ですが,法的には権利ではありませんので,排出量取引と呼ばれることもありますが,取引されるものは「排出量」ではありません!(排出量とは物理量ですから) 同様に,排出枠=排出目標 の取引でもありません.その意味で,わたしは排出権取引という言葉を用いています.ちなみに,英語でも,allowance, credit, permit, entitlement, right などの用語が用いられます,アローワンスは,キャップ・アンド・トレード型規制下の排出権です.クレジットは,排出削減量を排出権化したものです.排出権取引のご説明もまた機会を見つけていたしましょう.わたしの クライメート・エキスパーツ のWeb (http://www.climate-experts.info/Column.html)にも(すこし専門家向けですが)説明をしてあります.



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O. カーボンオフセットって何なの? [カーボンオフセットの本質とは?]


カーボンオフセット・サービスは,目に見えないサービスです.したがって,それを提供する人は,きちんと説明をしなければなりません.ところが,実態としては「わかるようで よくわからない」という話をきくことも多いですね.実際,排出権取引自体が経験のない日本では,きちんと理解あるいは整理をせずに動いているところがあるような気がします.

したがって,何度かに分けて,カーボンオフセットとは何であり,そのサービスとはどのようなものであるか?というご説明をいたしましょう.

オフセット説明1.png

そのため,カーボンオフセットを考えるにあたってのポイントを,次のような「疑問」に答える,という形で整理してみましょう:

  1. A.「カーボンオフセットは排出権取引なの?」《← 規制とは異なる自主活動》

  2. B.「カーボンオフセットは何のオフセット?」《← 排出活動と排出量算定》

  3. C.「オフセットってどういうことなの?」《← 京都議定書目標に使うことへの疑問》

  4. D.「カーボンオフセットは寄付金なの?」《← 地球に負荷をかけている当事者としての自覚》

  5. E.「排出削減クレジットは本当に削減になっているの?」《← 削減量の信頼性》

  6. F.「どんなタイプのプロジェクトでもいいの?」《← プロジェクトの質》

  7. G.「オフセットしさえすればいいの?」《← 行動変革の重要性》

  8. H.「わたしの支払ったお金はどう使われたの?」《← サービスプロバイダーとしての信頼性》

  9. I.「世界のカーボンオフセット事情」《← ワールドスタンダードなカーボンオフセット》

これらの疑問に,順次 答えていき,かつPEARがその疑問にどう応えているか?という点をご説明したいと思っています.

それによって,カーボンオフセットがどういうものか,ご理解いただけると思います.ほかにも,疑問がありましたら,お寄せ下さい.

松尾 直樹


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PEARのブログ立ち上げにあたって [PEARの What's New]

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PEARカーボンオフセット は,2008年6月13日から,一般消費者向けのカーボンオフセットサービスを開始しました.それにともなって,OfficialなWebで書くにはちょっと... という内容などを,こちらでブログという形で記載することとしました.

目に見えない「カーボンオフセット」というものは,いったいどういうもので,どのように理解したらいいのか?というような点を考えたり,どのように信頼性を確保しようとしているか,というような工夫などもご紹介したいと思っています.PEARが自ら開発しているプロジェクトの苦労話なども,きっとPEARのことを理解していただくだけでなく,地球温暖化問題と途上国の持続可能な開発のあり方を考えるいい機会となるでしょう.

さいわい,PEARには,地球温暖化問題などの専門家が 多くたずさわってくれています.国際交渉,排出権取引制度,CDMプロジェクト,GHGインベントリー,途上国における再生可能エネルギー など,多様な側面を持つ地球温暖化問題をかなり広くカバーしています.キャリア的にも,シンクタンク/政府系研究所,コンサルタント,役所,財団法人,監査法人,大学,ロハス系アウトドアメーカーなど,多岐にわたっています.

このPEARスタッフは,PEARのもつコンセプトに共感して集まり,PEARを通じて,地球温暖化問題や途上国の開発問題に寄与していきたい と熱い想いを持っています.そして,それぞれの専門性を活かしながら,PEARを通じて,自分たちの理想とする方向性にすこしでも近づいていけるように,日夜 努力を重ねています.

このブログは,そのようなスタッフからのメッセージでもあります.

PEARの考えに共感していただける人たちの輪が,これを通じて大きくなっていくことを願っています.

松尾 直樹


ボン合意.png 

[写真は,ブッシュ大統領の米国離脱宣言で成立が危ぶまれた「京都議定書のルール」のコア部分=ボン合意 が成立し,京都議定書体制がいよいよ動き出せることが決まった感動的瞬間です,槌を降ろすのはプロンク議長.(2001 @COP 6.5)]


P.S.

松尾のコンサルタント会社である Climate Experts においても,地球温暖化問題に関するコラム がありますので,よろしかったらご覧下さい.

 


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