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コペンハーゲン会議から《一週目を振り返って》 [地球温暖化問題の国際交渉]

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会議は前半の一週間が終わり,いよいよ二週目に突入します.3万人以上の参加申請があり,なんと国の代表団以外は人数制限されてしまうことになりました(はじめてです).わたしはちゃんと入場パスを確保できたのでよかったのですが,日本からはるばる来たのに入れない人も多数出てくるわけです.いやはや...

一週目の交渉のハイライトは,AWG-LCA, AWG-KP の両方の交渉プロセスに関して,議長テキストが出てきたことでしょうか.UNFCCCのWebサイト に出ていますので,ぜひご覧ください(11日バージョンよりさらに新しいものが出ているようですが 代表団オンリーだったので入手できていません).

LCA_議長テキスト.gif

また静かに 決定文書である Lドキュメントも出てきつつあります.その他のドキュメントで,わたしがひそかに注目しているのは,技術移転の文書とそのサマリーです.わたしの視点は,新しい枠組みの法的な性格といった目立つものもそうですが,むしろ「実質的にワーカブルな」地に足のついた仕組みが用意できるか?という視点です.MRV (measurable, reportable, verifiable) というバリ行動計画で導入された概念は,それを確保しようとしているわけです.この技術移転の文書は,パフォーマンスインディケータに関するもので,緩和策に関する NAMA (nationally appropriate mitigation actions) が,MRVという形で実質的に機能するための,重要なものとなります.

もうひとつ,National Communications という仕組みが UNFCCCの下であります.先進国にも途上国にも「義務」となっている重要なプロセスです.先進国には in-depth review という審査プロセスもあります.まずは「知る」「報告し 情報を共有する」といったところの重要性を認識した仕組みで,GHGインベントリーとともに,facilitationを基調としたUNFCCCの運用の基盤を成していると言うこともできるでしょう.このプロセスをうまくMRVの視点から ガイドラインの改定というプロセスにおいて,実効性を高めていく... といった方法も有効ですね.

さて,上記の「ワーカブルな仕組み」という点から AWG-LCAの議長テキストを読むと,リークされたデンマークのテキストと比較して,やや劣るということが言えるでしょうか.これからの refine が期待されます.

これらの文書は,今後の交渉で refine され,できるだけ絞り込まれ,それでも合意できなかった部分(とくに政治的要素のつよい部分が残されます)は その部分が 括弧 [   ] 付きで,AWG-KPで採択されます.そして,週の後半の大臣クラスの交渉に持ち込まれるわけです.さいごには,COP Decisions, CMP Decisions という形でまとめられます.

ひとつ,今回のコペンハーゲン会議の outcomes をどう考えるか?という点をみてみましょう.

先進国は,京都議定書と条約のプロセスの融合として,新たな国際協定の合意を主張してきています.巷の報道でも,それができることがコペンハーゲンの目的であるという言い方がされることもあります.ただ,このプロセスのはじまりであるバリ行動計画をどう読んでみても,そのようなことまでは書いてありません.もちろんそこまでの合意ができたらすばらしいことでしょうが,マンデートになっていないことまで合意する... ことは,かなり難しいのが国際交渉の現実です.

ひょっとしたら,首脳レベルの交渉で動くかもしれませんが,それは「デッドラインを決めて,新たな国際協定合意を目指すプロセスを立ち上げる」というレベルでしょう.わたしはそこまでできたら十二分だと思います.またそのような決断は,けして行政官ではムリで,きわめて高度な政治判断となるわけですね.首脳たちの地球温暖化問題への気持ちに期待しましょう.

一方で,京都議定書の第2期の数値目標の交渉は(モントリオール会議からのマンデートとして)動いており,これは合意されるでしょう.米国,中国,インド,ブラジルなど,主要国が (国際枠組みの中で位置づけられるわけではないとしても) それなりにプレッジしてきています.オバマ大統領を含め,100カ国を超える国の首脳が集い,この政治的モーメンタムの中で,日本が 25% 目標を降ろすことはむつかしいかと思っています.EUは欧州理事会を開いたようですので,20%からさらに目標を挙げてくる可能性もあるでしょう.

コペンハーゲンは,「次のプロセスに繋ぐこと(マンデートの設定)」と,できるだけ「実質的でワーカブルな仕組み」を既存の枠組みの中に組み込むことができるか?が,ポイントであると思っています.

松尾 直樹

 


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